Piroブログ 価格と物価の違い 2023/06/18

ドラッグストア(DgS)、スーパー(SM)に行くと以前に比べて全体的に商品の価格が高くなってきたことを実感することで物価も上がっているのだろうと感じ取れた。価格と物価は似た言葉だが、意味は全く違うので紹介したい。

まず価格は前述したように商品1つずつにつけられている金額、それが価格。物価はその価格全てを加重平均したものだ。例えると下記のとおり、これは例えなので平均で表した。

 

ジュース 100円

お茶 100円

コーヒー 100円

平均100円をベースに考える。

 

翌年A

ジュース 200円

お茶 200円

コーヒー 200円

平均200円

前年平均100円の時に比べると100円上がったので物価が上昇したことになる。つまりインフレ。

 

翌年B

ジュース 50円

お茶 50円

コーヒー50円

平均50円

前年100円の時に比べると50円下がったので物価が下降したことになる。つまりデフレ。

 

翌年C

ジュース 200円

お茶 200円

コーヒー 50円

平均150円

前年平均100円の時に比べると50円上がったので物価が上昇したことになる。

あれ?ここで疑問が生じた人は賢い。コーヒーの価格は下がったのに物価が上がったことに気づいただろうか。要するに価格と物価は連動しない。本来は加重平均なのだからなおさらだ。

先週末、日銀金融政策決定会合が行われ引き続き金融緩和を続けることになった。金融政策の方向性を決める指標になるひとつが物価になり、どの指標を参考にしているかというと「消費者物価指数」になり略称CPI(Consumer Price Index)と呼ばれている。

CPIには全ての価格が対象となるCPI総合、生鮮食品価格を除いたコアCPI、生鮮食品価格とエネルギー価格を除いたコアコアCPI、食料品価格とエネルギー価格を除いた欧米型CPIがある。日銀はおそらくコアコアCPIか欧米型CPIを見ていると思われる。世界標準ではあるが日本もインフレターゲットを設けており、毎年2%ずつ物価を上げようという目標がある。程よいインフレは経済を回し景気がよくなるからだ。気づいた人はいるだろうが、現状の日本はコアコアも欧米型も2%を超えている。超えているのに金融緩和を続ける理由はコストプッシュインフレだからだ。このままコストプッシュ部分が落ち着くと物価が下がる可能性があるためだ。本来は需要型インフレ(ディマンドプルインフレ)にして常に物価上昇させなければ意味がなく、日銀は持続的に安定した物価上昇を確認できるまでは金融緩和を続けることだろう。

このように価格と物価は似た言葉でも全く意味が違う言葉だ。店頭価格、買い物で受ける印象そのものが経済学においては大切なことなのだ。買い物中に感じ取れたことを活かせば経済を読み解けるかも。 了