10)2020年3月(38歳)
2020年3月10日に日本環境感染学会から発表された「医療機関における新型コロナウイルス感染症へのガイド第2版改訂版」に記載されている新コロナに関してまとめた。前編後編の前編は現段階わかっている新コロナに関してまとめた。後編では特に各家庭・各個人でも実施できる予防策などを中心にまとめた。これらの詳細は下記URLを確認してほしい。
「医療機関における新型コロナウイルス感染症へのガイド第2版改訂版」
http://www.kankyokansen.org/uploads/uploads/files/jsipc/COVID-19_taioguide2.1.pdf
【ウイルスの特徴】
人に感染するコロナウイルスは従来、風邪のウイルス4種類と重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS-CoV)、中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)の合わせて6種類が知られていたが新コロナ(COVID-19)はこれらと異なるウイルスであり、主に呼吸器感染を起こし病原性はMERSやSARSより低いレベルと考えられている。
【感染経路】
飛沫感染、接触感染。空気感染は否定的。感染力は1人の感染者から2~3人程度。これはインフルエンザと同じくらいの感染力。
【臨床特徴】
呼吸器系の感染が主体。感染しても必ず発症するわけではなく、無症状で経過してウイルスが排除されることも考えられる。潜伏期間は5日~14日程度。遷延する発熱を主体とする上気道炎症例、肺炎症例、発症8⽇以降に呼吸不全が進⾏し急性呼吸窮迫症候群(ARDS)を併発して更に重症化する症例がある。
上気道炎症例・・・いわゆる風邪症候群、要は風邪
急性呼吸窮迫症候群(ARDS)・・・呼吸不全(肺機能不全)の一種で、肺に液体が貯留し、血液中の酸素レベルが異常に低下する様々な病気が原因で発生
いわゆる風邪でも上記が原因で亡くなる場合もある。
特に高齢者は危険であり、今回の新コロナにおいても高齢者や基礎疾患のある患者では重症例や死亡例も報告される傾向がある。小児、若年者には感染、重症化する割合は低い。
私の印象としては「ただの風邪程度」。風邪も肺炎を合併することもあり風邪だから大丈夫というわけではない。重い風邪もある。
【臨床的診断】
詳しい診断は文献のとおり、気になるのは肺炎を合併した場合でも胸部X線では見逃すこともあるとのこと。普段であれば風邪として診断される。
【ウイルス学的診断】
「検体としては、下気道由来検体(喀痰もしくは気管吸引液)が望ましいとされているが、下気道由来検体の採取が難しい場合は上気道由来検体のみでも可となっている。採取は発病後 5 ⽇以内のできるだけ早い時期の採取が望ましく、速やかに氷上または冷蔵庫(4℃)に保管し、輸送まで 48 時間以上かかる場合は-80℃以下の凍結保存が推奨されている。上気道由来の検体では偽陰性となる事例が報告されている」とある、つまりドライブスルー検査では正確な判断は不可能だろう。
前編は「医療機関における新型コロナウイルス感染症へのガイド第2版改訂版」に書かれている新コロナに関してまとめた。まとめていて個人的な解説も少し入れさせてもらった。次回後編は感染予防に関してまとめる。