Piroブログ 悪い円安を聞かなくなった? 2022/05/17

日経新聞の「悪い円安」論。どこいった?

■悪い円安
日経新聞などは、このインフレは為替に問題があり「悪い円安」としたキャンペーンをしばらく行っていたがトヨタ、キャノンなどの複数企業が円安による過去最高益の業績を叩き出した瞬間に日経新聞などは「悪い円安」と言わなくなった。
日銀黒田総裁は「円安はプラス」。このインフレは供給制約によるコストプッシュであり経済状況を見る限り今まで通り金融政策を続けるとしていた。
このように日経新聞と日銀では意見が分かれていたが、「悪い円安」ではなかった途端に日経新聞は沈黙し「悪い円安」とは言わなくなった。

日経新聞が言っていることはまるで財務省
鈴木財務相も「悪い円安」と発言。これを問題視にしないマスコミに疑問だ。日本は変動相場制なのに日本の財務トップがこの発言。政府は為替介入したいのか?
日経新聞などは「悪い円安」を解決させるために金融緩和をやめて金融引き締めをしろと言う。金融引き締めを行えば金利は上がるので日米金利差は縮まり円高に振れる。
ただ、黒田総裁の言うとおり日本経済は景気回復をしておらず、このインフレは景気回復ではなく供給制約によるコストプッシュが主な理由。この状況で金融引き締めをすることは景気後退させ、人命、雇用を失わせる。それこそ家計も苦しむことになる。金融引き締めをしたい財務省の声、それが日経新聞

■今日の日経新聞より(2022/05/17)
企業物価指数が10%になった。消費価格に転嫁できていないことが問題とのこと。ご指摘は間違えていない。企業物価指数とは企業間の物価指数。消費物価指数は消費者、つまり私達の物価指数である。私達の物価指数である消費物価指数は供給制約によるコストプッシュや昨年の携帯料金値下げによって物価上昇が起きているが、それでも消費物価指数総合で2%弱くらいだろう。
企業物価指数と消費物価指数との差は企業が消費価格に転嫁できずにいる証拠。値上げができておらず企業が吸収し収益を圧迫させているのだ。この解決にはデフレマインドを脱却させ値上げしやすい環境作りが必要。
「悪い円安」としていた日経新聞はこのインフレを為替のせいにしていたが実際は違った。確かに為替の影響もあるけどマクロで見たら円安がもたらす経済効果は日本にはプラス。日経新聞は間違えた「悪い円安ガーーーー」としてキャンペーンを行い金融を引き締めろと、言うのだからセンスがない。円安で業績が悪くなる企業もある。しかし、値上げできれば解決できる企業が多い。
値上げをしなければ企業の収益は減るので経営に影響するし賃金が上げられない。家計に影響が出ると財布は固く締められ消費されなくなるので景気後退する。苦しむ企業や家計に給付金や補助金が必要。それよりも簡単なのは消費減税。これらをできるのは政府だけだ。

参考
企業物価上昇、転嫁に格差 素材6割高・最終製品5%弱:日本経済新聞
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB13BZS0T10C22A5000000/

■消費価格に転嫁
消費価格に転嫁することは悪ではない。正である。今、安くても続かない。値上げせず原価だけ上がれば収益は減るので何かを削らなければならない。それは人件費かもしれない。雇用が減り収入が減ると家計は買い控えが起きる。消費しなくなった市場に供給が途絶える。売れなくなった小売店は売るために安くする。物価が下がりデフレに向かうことになる。小売店が安くなってバンザーイではない。賃金も下がるので変わらない。デフレは需用と供給が下がるので経済を低迷させる。失業者を増やし自殺者を増やす。今、金融緩和をやめろと言う人はこの人達を助けられるのだろう。

■さいごに
日経新聞などが報じた「悪い円安」は日本経済、国民への悪影響でしかない。「悪い円安」のせいで物価が上昇していると論じていた日経新聞が今朝は企業物価指数が膨らみ消費物価指数との差が開くことが問題だと言う変わりように疑問しかない。